JIDA

EAST JAPAN BLOC 東日本ブロック

JIDA-Websiteリニューアルに際して

by JIDA理事長 浅香 嵩

 

19年度が終わり20年度の総会を経てまた新たな1年がスタートしました。

1年というスパンがとても短く感じられる今日この頃です。

さて、20年度の活動方針の中で今年度は思い切って活動テーマを絞り込み、
皆様に提示させて頂きました。
その一つ目は今年度12月からスタートする公益法人改革にたいして、協会が積極的に
取り組むという事を掲げました。また2点目は広報活動の推進です。最後にデザイン
職能の確立を更に進める為に、資格認証制度の具体的な方策を探るという事で
プロダクトデザイン検定とデザイナーの為の継続教育について、その実施検討を推進
するという活動方針を提案致しました。

1.公益法人改革
2.広報活動の推進
3.資格認証制度

また、活動の横断的なキーワードとしてビジョン、ミッション、アクッション
を掲げ、ここ数年2010ビジョンクエスト委員会が検討してきた課題について
明確な方向性を提示しつつ、具体的な行動をとおして社会にアピールして
いきたいと考えています。


●[公益法人改革への取り組み]●
協会を取り巻く社会の問題に目を向けてみれば、どうも今までのような暮らしを
今後とも維持していくのは大変難しそうな状況です。
環境の問題、資源の問題、格差の問題など、社会のグローバル化の中で人類が
克服しなければならない様々な課題が山積しています。
このような背景の中で第一点目のテーマ「公益法人化への取組み」はまさに
我々協会をはじめとして現代社会を支えている組織構造そのものを見直す契機
であると考えています。

「公益か共益か」については相互補完の関係があって、協会活動もどちらかの一面
からだけで考える事は出来ませんが、いま社会から問われているのは不特定多数の
利益の為にJIDAという団体は何が出来るのかという事だと理解しています。

この10年続けているデザインミュージアム活動やエコ展などは公益性という観点
から見て非常に分かりやすい事業・活動だと思いますし、職能の確立を目指す
資格認証の制度化への取り組みや次世代デザインナーの養成をも含む継続教育制度
の確立なども公益的価値を持つものと考えています。
その他にもこれからの社会を考えるという観点では持続型循環社会のインフラを
作るためにデザイナーが出来る事、安心・安全や防災という切り口で社会に発信
すべき課題は多岐にわたります。
このような課題に対して、より効果的な取り組みが可能になる協会の在り方を再検討
しなければならないと考えています。

●[広報活動の推進]●
次に広報の課題ですが、JIDAではこの半世紀以上にわたって様々な活動を進めて
きました。しかしながらその輝かしい活動もここ数年、デザインメディアですら
取り上げていない現状を憂慮せざるを得ません。
会員各位が、そして会員外のデザイナーもそれぞれ努力され、デザインという
言葉が街にあふれています。

しかしながらその一方で「デザイン家電」、「デザイン雑貨」、「デザイナーズ
マンション」等など、とても奇妙な社会現象に当惑しているのは私だけでしょうか。
あるラジオ放送の「デザイン家電」の紹介というコーナーで、「いま日本で売られて
いる家庭電化製品にデザインされているものとそうでないものがあるのですか。」
という質問に情報提供者が一瞬言葉を詰まらせたのは、聞いていた一人のデザイナー
として非常に興味深いものがありました。

いまインダストリアルデザイン、プロダクトデザインとしてこのようなマスメディア
の「デザイン」という言葉の使い方を目にしていると、我々協会の広報に対する
取り組みの浅さを実感してしまいます。
JIDAとして、もっと社会にデザインの役割を積極的にアピールし、今日的なデザイン
についての理解を深める為の活動をする必要があると考えています。

●[資格認証制度]●
3番目のデザイン職能の確立という事で、資格認証制度としてのプロダクトデザイン
検定とデザイナーの継続教育をあげています。インダストリアルデザインや
プロダクトデザインの領域を考えてみると、その対象分野はかなり広く、その業界で
求められる知識やスキルが一様でないことが分かります。
デザイン専門教育の中ではプロダクトデザインに共通すると思われる最低限の知識や
スキルを身につける事にとどまっているのが現状です。

一般的には就職先のOJTによって、それぞれの分野におけるスペシャリストとしての
デザイナーが養成されています。資格認証制度の中で重要なことはまず今日的な
デザインついての共通理解が必要な事、資格認証や検定という事からデザインという
専門領域に関する知識や技術についての習熟度について明確な基準を設定する必要が
あることです。
また、それらのガイドラインを検討する中でデザインの専門領域そのものの内容が
明らかになる事により、必要とされる知識やスキルの共通部分とそれぞれの分野で
独自に必要となるものを特定する事が可能になります。

これからのデザインを考える上でこれらの検討が必要なのは言うまでもありません。
また、今回のプロダクトデザイン検定制度で必要なのは単なる資格制度を議論している
のではなく、デザイナーの継続教育と一体になって運用していきたいと考えている
ところに重要なポイントがあります。

日進月歩で進化していく社会にこたえる為にはデザイナー自身が絶えず進歩して
いかなければなりません。特にフリーランスデザイナーや若手デザイナーの自己研鑽
の場として検定制度と継続教育の総合的運用をめざす必要があると考えています。
制度化の弊害や問題点はおそらく数多くある事と思います。
出来る限り多くの会員の皆様、会員外の皆様からもご意見を頂きながら進めて行きたい
と思います。

今回、JIDAホームページのリニューアルに際しましてJIDAの活動の方向性について
ご紹介いたしました。
また、機会を頂きましてアジアの中のデザイン、
そしてデザインを切り口に世界とどう向き合っていかなければならないのか等を
お伝え出来ればと思います。
是非ともJIDAにアクセスを、宜しくお願い致します。