日本で唯一のインダストリアルデザイン全国組織
JIDA(公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会)は、1952年に日本で初めての全国デザイン団体として産業デザイン(インダストリアルデザイン)を振興するために発足された公益社団法人です。
JIDAは、1952年に日本で初めての全国デザイン団体として発足されました。終戦の傷跡が冷めやらぬ中、日本が新たな時代を築くために産業デザインを振興する団体として、当時活躍していたデザイナーや産業界の有志25名によって設立されたと記録に遺されています。その中には、柳宗理・剱持勇・渡辺力ら日本を代表するプロダクトデザイナー、建築家、クラフトデザイナー、インテリアコーディネーター、グラフィックデザイナーなどの姿がありました。
(JIDA発足メンバー 明石一男・淡島雅吉・伊東祐義・大泉博一郎・金子至・金子徳次郎・黒瀬英雄・剱持勇・小杉二郎・佐々木達三・白石浩二・島田重義・新庄晃・鈴木太郎・鈴木冨久治・鈴木道次・寺島祥五郎・知久篤・中井太一郎・中曽根一夫・服部茂夫・柳宗理・山口勇次郎・芳武茂介・渡辺力 五十音順)
コピーではなくオリジナルな商品やサービスを生み出す重要な知恵の一つが、産業デザインです。日本の様々な商品デザインが、その後の日本の高度経済成長や今日までの発展を影で牽引してきたことはみなさんもご存知のことでしょう。私たちJIDAは、創設以来今日まで産業デザイン分野の振興や普及啓発を担い続けています。
JIDAの活動は国内だけでなく海外にも及びます。現在の国連経済社会理事会の特殊諮問機関であるWDO(World Design Organization)の前身、ICSID(インダストリアルデザインの国際組織)にJIDAは1957年の発足時より関わり、現在もWDOの一員として活動しています。その後1969年に社団法人として通商産業省(現経済産業省)の認可を受けました。続く1973年には、京都において世界デザイン会議(ICSID国際会議)を開催、また1989年には再び名古屋での世界デザイン会議を開催し、2023年にもまた東京にて日本で3度目となる世界デザイン会議を開催予定です。
私たちは日本最大級のデザインコレクションとして、時代の重要な産業デザインをコレクションし続けています。1997年にはJIDAデザインミュージアム1号館を長野県信州新町に開設し(2022年に惜しまれながら閉館)、1999年から現在まで、毎年の時代を代表するデザインを選定・顕彰し収蔵する、デザインミュージアムセレクション事業を続けています。
2005年には産業デザインに必要な素材を見本帳として提供するサンプル事業を開始、また2010年には業界に先駆けてデザイン分野の検定(プロダクトデザイン検定)を開始するなど、様々な事業を創出してきました。これらの活動が認められて2012年には公益認定を受け、公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会となりました。その後2021年には協会名を現在の公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会に改名。拡張するデザイン領域の中で、デザイナーの職能にとどまらず広くデザインを社会と国民に啓蒙する公益社団法人として生まれ変わりました。
現在のJIDAを構成する会員には、多様なメンバーが集っています。例えば日本を代表する製造メーカーの多くがJIDAに企業会員として所属しています。こうした企業で活動するインハウスデザイン部門の会員の皆様や、独立して活動する全国のインダストリアルデザイナーの会員の皆様、そしてデザイン教育やデザイン振興に関わる研究者や編集者などの会員の皆様が、日々活発なコミュニティをつくって活動しています。
2022年に私たちJIDAは70周年を迎えました。新産業の創出やデジタルによる激変、気候変動などに対応するライフスタイルの創出など様々な変化のために、創立時と同じように現在もデザインの重要性が叫ばれています。その中でJIDAは日本のデザインの歴史を牽引してきた存在として、これからも様々なセクターにデザインの力を届けてまいります。