JIDA

CHUBU BLOC 中部ブロック

2019年度卒業制作展訪問

 

公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会
中部ブロック・次世代事業委員会
委員長 岡田 心

◆2019年度【卒業制作展訪問】JIDA中部ブロックデザイン賞のご紹介◆

中部ブロック・次世代事業委員会では、2019年度もデザイン系大学卒業制作訪問(卒展訪問)を開催し、各学校毎に優秀な作品を選定し表彰しました。

2019年度のJIDA中部ブロックデザイン賞は以下の方々です。

2019年度JIDA中部ブロックデザイン賞


 

■名古屋工業大学
 2020年3月1日(日) 会場:名古屋工業大学4号館1階
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最優秀賞:豊福拓歩「オフィス用低座家具の提案【 mount stool 】」
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評価コメント:
知的生産性の向上という社会的な課題に視点を置き、多様なアイデアの誘発を目的とした低座位 のスツールの在り方を示唆したもので、多角的な会話が行える事を解析手法の中で仮説・検証し、 フォルムは具体的な仕様要件のプロセスから生まれた筒状の独創的な姿であった。 高さ300mm 直径500mm の柔らかな筒はどの方向からでも座れ腰も支える事ができ、筒状の エッジ部分の形状が身体に合わせ沈み込み復元するスツールである。現状の試作は強度的な問題点 はあるもののその独創的な革新性を評価した。
この提案を完成させるには、素材開発からの様々な試作を行わなければ実現は難しいと考えられ るが、今までにないフォルムの魅力を感じるデザインであり、ミラノサローネ国際家具見本市に あってもおかしくない洒落たスツールである。(文責・江藤太郎)

最優秀賞:山田碩人「線で奏でる電子楽器【 LITO-8 】」
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山田さんは当日体調不良ため欠席でプレゼンテーションは太田さんが代行しました
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評価コメント:
モニターでの簡潔な操作映像説明は「デザイン・ あ 」を思わせる完成度の高いものであり、 様々な線や模様を単に音に出すという事ではなく、音楽に変換するアルゴリズムの設計は見事。 ビギナー用からアマチュア・プロフェッショナルを想定し音楽理論・知識・楽器に縛られる ことなく誰でもが自由に音楽を楽しめる考え方は素晴らしいものであった。
「沼の敷居をさげること」 そこに人生の楽しさを見出せる在り方を追求している副題がテーマ の原点となっている。彼はデザインコンセプトとは言わず設計思想とあえて日本語で表現している ことは制作背景の奥深さを感じ取れる。この提案は音楽を奏でる基本的ツールとして様々な展開 がイメージできるものであり、心の問題に取り組む着眼点の姿勢と工業大学らしい技術解決の プロセスの確かなアプローチを評価した。(文責・江藤太郎)
*沼とは:多くの時間や努力・お金をかけてやり続ける生きがいを形用する言葉

優秀賞:中陣佳帆子「自然界の模様を取り入れたアクセサリーのブランディング【Shimpi 】」
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評価コメント:
小さなアクセサリーから絶滅危惧種への意識を醸成し、そこから大きな社会性ある行動展開を 試みた提案で最先端の技術と材料(レーザー加工と金属アレルギーに効果的なチタン)の融合が高い 次元での成果を生んだ工芸的な美しいプロダクトであったことを評価した。
その緻密な提案の背景は人が身に着けるアクセサリーという身近なものに自身の考え方を具体的 に投影できる楽しみと提案への強い情熱を感じ取れ、社会性に重点を置いた提案に昇華している。 また、ブランディングの背景ストーリー構築も明確で、人の心に届く言葉とアクセサリーとの 関連付けが巧みであり生物の特徴を人の性格や気分に置き換えた試みは興味深く使う側の好奇心を 掻き立て、ネーミング・模様パターン・カラーリング・フォルムその全てに背景となる意味を しっかり認識し持たせている点である。人の心の動きとのバランスを考え抜いたアクセサリー として試作とは思えない完成度は商品化レベルであった。(文責・江藤太郎)


 

■大同大学

 2020年2月24日(月) 会場:ナディアパーク・2Fイベントスペース
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最優秀賞:田中聖哉、籾山友希「ミニスキューバの可能性を広げる研究・開発」
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評価コメント:
スキューバ・ダイビングをライセンス無しに楽しめるライトウエイなツールの提案で、モデルの造形センスと完成度の高さが評価された。圧縮空気を用いた基本機能は自身で実際に実証しただけあってプレゼンテーションにも説得力があり、達成したい目標値がしっかりと描けている点も好感が持てる。カメラやアプリを利用した将来展開にはツメの甘さは感じるが、それ以外はリアリティーを感じる研究開発である。(文責・後藤規文)

優秀賞:榎本陽太、與那原聖也「バドミントン専用コーチング自助具の研究」
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評価コメント:
怪我をしたバドミントンコーチが指導用に用いる松葉杖という(ブラックな背景は別問題として)かなりニッチなニーズは自身の体験から生まれたアイデアだとか。対象者と達成する目的がはっきりしているだけあってデザインも明快である。東京五輪を迎え、スポーツが益々身近なものになり、更に深化していく過程で、選手のパフォーマンスを上げる以外に、コーチをサポートするプロダクトは今後期待したいテーマである。(文責・後藤規文)

造形賞:小石遥也「ギタリストの演奏体験を豊かにする椅子とアンプのデザイン研究」
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評価コメント:
ギターを引くための最適な高さを模索し、デザインされたスツールは造形的にも綺麗にまとめられ、完成度が高い。それと同じテイストのギターアンプも魅力的なものである。使われるシーンやユーザーの期待値がはっきりと描けているプロダクトは多くの人の所有欲をそそるだろう。ただし、クッションのようなアンプ天面は不意に座ってしまう可能性が高く、それをさせないアフォーダンス的な一工夫は必須と思われた。(文責・後藤規文)


 

■名古屋造形大学

 2020年2月24日(月) 会場:愛知県美術館ギャラリー8F
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学生作品らしく、ユニークでフレキシブルな発想をベースに展開されており、今後の活躍が期待される作品が多くみられた。ただ、最後の詰めが甘く完成度に物足りなさが感じられる作品も見受けられた。また、取り組んでいる課題の本質を解決するために最も的確でシンプルな答えを忘れ、あれもこれもと欲張った作品も見受けられた。(文責・木村徹)

最優秀賞:長峰隆磨「VIDAR」
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評価コメント:
新しい視点で取り組んだサッカーシューズ。素材、スパイク様々な構成を丹念に研究し従来ではなかなか考えられなかった斬新な形状が提案が出来ていた。その真摯な取り組み姿勢と新しいものに挑戦しようとする精神には好感がもてた。(文責・木村徹)

優秀賞:彦坂和希「Vertical laundry(洗濯×洗面=Future LIFESTYLE)」
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評価コメント:
玄関で汚れたものをシャットアウトしようと、洗面と洗濯機を合体させシンプルな二つの円筒形を造形テーマにして構成された作品は、斬新かつ魅力的で優秀賞に値するのもであった。ただ、高さを調整する為に、上下に移動する考え方は良かったが、その機構にはかなり無理があり問題を残したのは残念であった。(文責・木村徹)


 

■名古屋市立大学

 2020年2月23日(日) 会場:名古屋市立大学・北千種キャンパス
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全ての発表者の提案が高いレベルになっており、、その内容が分かりやすく丁寧なプレゼンテーションにまとめられていた。ただし、まだデザインの検討プロセスが一巡したのみの初期の段階であり、引き続き研究する価値のある内容ばかりであった。全員の質の高さから甲乙つけがたく、JIDA賞を選ぶためにJIDAメンバーの議論も長くなった。そこで順位をつけず、具体的な提案と基礎的な方法論の提案となる対照的な2点を優秀賞として選定した。

優秀賞:山木美穂「パーソナルメディア向け撮影用照明のデザイン」
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評価コメント:
アクセサリーなどを写真撮影するときに、手元で照明の位置や角度を調整できる器具の提案。 ユーザーの要望に気づき、調査分析をしてから解決策を考え、形を作り検証する、というモノをデザインするときのプロセスの基本をしっかりと行っている。モノとして見たときにも、構造や造形の検討結果が質の高い具体的な形として提示されていることを評価した。今回は一つの照明として提案されているが、撮影行為全体を俯瞰して、広く問題解決の方法を探ると、さらに良いユーザー体験に結び付けられると思われる。(文責・堀田俊則)

優秀賞:古井翔真「4次元シグナルの製品デザイン群」
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評価コメント:
ライティングの変化などの時間軸を立体物に取り入れるデザインの方法を明確にしようとする試み。 新しいデザインの手法を見つけようとするチャレンジと、その可能性と発展性を評価した。 四次元という言葉の力も強く、聞いた人が新しく発想を膨らませて議論に参加したくなり、プロジェクトに巻き込む力がある。 視点や提示されている要素は大変面白いが、ぴたりと合う用途や形が見つかっていない。具体的な良い事例が1点でもあるとイメージが明確になり、広がるひっかけになるだろう。(文責・堀田俊則)


 

■愛知県立芸術大学

 2020年2月23日(日) 会場:愛知県立芸術大学
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最優秀賞:羽木福太郎「杉でセミアコースティックギターを作る研究」
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評価コメント:
大学4年間を通じてギターデザインを継続的に手掛けてきており、まさに集大成の作品である。素材に関しては、間伐材で問題視されている杉素材に着目。圧縮成型技術の研究及び、加工技術トライを実施を行うなどして、自ら素材加工から塗装仕上げまですべて工程を小ロット生産レベルまで確立した上での優雅なデザインは、まさに商品レベルでありました。最後にギターの実演を行ってもらった。いつの日か、全国のギターリストが地域産の杉の音色を奏でる日を期待したい。(文責:井関徹)

優秀賞:大野和樹「easy objects」
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評価コメント:
AI・LoTなど技術発展で、より便利で快適な暮らしをしている世代であるからこそ、心の(ゆとり)が楽しめるような、気楽でeazyなモノの価値がより豊かな生活を送る上で大切な鍵を握っている考えが伝わる柔軟でインパクトのある作品に仕上がっていたと感じました。特に私が着目したのは、「#ハッシュタグ」で言語化した分類を見える化し、リサーチから宣材まで活かす手法である。今までのプロダクトデザインの大量消費者にむけての市場リサーチと異なり、新たなプロダクトデザインの価値創造を「ユーザーとの共感価値」として工芸・アート領域近く、プロダクトとしての豊かさとは何か?について考えさせられました。(文責:井関徹)


 

■名古屋デザイナー学院

 2020年2月21日(金) 会場:名古屋デザイナー学院
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優秀賞:河合美里「てのひら てんし」
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評価コメント:
出産記念に産婦人科が新米ママにプレゼントする企画の提案。赤ちゃんがぐずったときのオモチャとにもなるメモリアルなグッズは女性らしい細やかな気配りが感じられ好感が持てる。ただし、実際に赤ちゃんが装着した場合のリスクなど未解決の部分も多く、実証の経験を積むことのブラッシュアップを期待したい。 (文責:後藤規文)


 

■名古屋学芸大学

 2020年1月18日(土) 会場:愛知県美術館ギャラリー8F
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最優秀賞:森 大輝「IoTを使った新しいボルダリングジム」
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評価コメント:
ボルダリングのトレーニング時に用いるウエアラブルなツールの提案で、自身の経験から必要とされるセンシングディバイスを複数選定し、スポーティーなスタイリングでまとめられており、その完成度とセンスの高さが評価された。スポーツシーンでは、センサーと通信技術の進化で可能になったデータの分析から様々なメソッドが創出されており、デザインへの期待値も高い。益々の展開を期待したい分野である。(文責・後藤規文)

優秀賞:鈴木 佑「あべこべ・アボガドライフ」
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評価コメント:
ポジティブな生活を送るためのブランディングで、アボガドをモチーフにデザインされたキャラクターやプロダクトは発想も個性的で、周りを和ませるプレゼンテーションも含めて、彼女の推進力が評価された。完成度はさておき、好きなことをやりぬいた彼女からもらった元気はアニメやゆるキャラのブランディングを行う上で基本的な力なのかもしれない。(文責・後藤規文)


 

※2/29開催予定の名古屋芸術大学の卒業制作展訪問は新型コロナウイルス感染症拡大の状況を受けて、中止になりました。
※椙山女学園大学と愛知産業大学の卒業制作展訪問は、都合により本年度は開催しませんでした



主催:(公社)日本インダストリアルデザイナー協会・中部ブロック
協力:セントラル画材株式会社

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