JIDA

CHUBU BLOC 中部ブロック

2017年度卒業制作展訪問

 

公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会
中部ブロック・次世代事業委員会
委員長 吉田修作

◆2017年度【卒業制作展訪問】JIDA中部ブロックデザイン賞のご紹介◆

中部ブロック・次世代事業委員会では、2017年度もデザイン系大学卒業制作訪問(卒展訪問)を開催し、各学校毎に優秀な作品を選定し表彰しました。また、セントラル画材殿のご厚意により特別賞(セントラル画材賞)を設けました。
2017年度のJIDA中部ブロックデザイン賞は以下の方々です。

2017年度JIDA中部ブロックデザイン賞


 

■名古屋工業大学

 2018年3月3日(土) 会場:名古屋工業大学4号館1階
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最優秀賞:山口洸貴「そろばんを用いたボードゲーム」
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評価コメント:
「継承されるおもちゃ」をテーマにそろばんのレガシーをリスペクトし、その仕組みをゲームのコマに取り入れることで展開性を高めたアイデアは、独創的で高く評価された。アナログであるが何か現代的なゲームとの親和性もあり、ゲームの原型として可能性が感じられる。アプリケーションを模索し、デザインが更にブラッシュアップされることを期待したい。(文責・後藤規文)


優秀賞:長谷川理恵「糸かけ」
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評価コメント:
手芸が趣味の人のための家具の提案で、座面を編むために細やかな工夫が配慮された構造が評価された。この提案は模様替え(メンテナンス)を楽しみながら末永く家具と付き合うというどこか懐かしいライフスタイルをイメージさせながらも、コスメティックな素材を加えることでその魅力を上げている。ライフスタイルと合わせて表現すると更にイメージが広がる提案である。(文責・後藤規文)

ローランドディー.ジー.賞:大見祐人「音と光を楽しむウエアラブルデバイス」
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評価コメント:
講評会ゲスト企業のローランドディージー殿から高い評価を得た提案で、新しい楽器の原理モデルとして様々な可能性を感じさせる点は他の参加者からも評価された。モノよりもコトに重点をおき、プロトタイプによる表現でその楽しさを検証できたことも評価したい。表現やアプリケーションを更に磨き上げることで創出されるであろうインスタレーションが見たい提案である(文責・後藤規文)


 

■愛知県立芸術大学

 2018年3月3日(土) 会場:愛知県立芸術大学デザイン棟
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最優秀賞:鈴木ももこ「素材の声を聞く-廃材から生活雑貨を生み出す-」
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評価コメント:
Reduce、Reuse、RecycleのReuseに着目し、梱包材をはじめ、まだまだ使えそうなモノの再利用をテーマに、身近なモノのデザインに取り組んだ素晴らしい提案でした。これはデザイナーならではの大変重要な行為で、単なる素材に命を吹き込むだけでなく、私達の生き方まで考えさせる、高度な次の世界につながる文化活動であると評価します。(文責・木村徹)

優秀賞:岩間明日香「視覚障害者が楽しめるツール」
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評価コメント:
視覚障害者に焦点を当て、ハンディーキャップがあっても楽しんでもらおうと取り組んだ作品は、健常者をも和ませてくれる作品でした。特に花を思わせる作品は、作りやすさにも工夫されている点が評価に値します。(文責・木村徹)

セントラル画材賞:相澤翔太「週末レジャーをアクティブに楽しむ人たちに向けたモビリティーの提案」
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評価コメント:
Mobilityの可能性を広げる一つの提案として、若者の趣味に注目し、単なる自動車から若者も使える自動車へと変換させ、若者の自動車離れをストップさせようと言う取り組みは素晴らしい。今後は、移動しない時の置き場所など、施設や街の構成と共に生活空間全体にもデザイナーの知見を発揮し、作品作りに取り組んでほしい。(文責・木村徹)


 

■名古屋学芸大学

 2018年3月3日(土) 会場:国際デザインセンター4Fデザインギャラリー
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最優秀賞:鈴木隆之介「iDEAL」
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評価コメント:
オフィスや自宅の狭小スペースでの使用を考え、身体に優しくコンパクトで効率的なビジネス家具の提案とし優れている。ユニバーサルなベースデザインを基本に男女、外国人、高齢者等にもよりフィットした作業姿勢に対応できる工夫や、スポット照明等をオプションで提供できれば、さらに個々人へのwantsにも対応でき、広範囲のユーザーを獲得でき、高くても売れる商品になるであろう。(文責・柴田園子)

セントラル画材:弟子丸哲矢「LINEAR」
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評価コメント:
視覚を必要としないインターフェイスを持ったユニバーサルなヘッドフォンの提案。美術館などの視覚障害者用音声ガイダンスの利用も想定したユニバーサルな仕様で、コンパクトなイヤフォンタイプではなく、カッコいいヘッドホン型で考えたところにデザイナーのこだわりが感じられた。(文責・柴田園子)

セントラル画材賞:神谷啓士郎「CEM125」
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評価コメント:
女性をターゲットとした小型EVバイクの提案である。部品キッドをチョイスして自分仕様に出来るのが良い。シート座の高さのチョイスやハンドルまでの距離のチョイスができる等の提案はドライバーに優しく良い。アクセサリー以外に安全装備のチョイスも欲しいものです。こうした小型バイクは日本だけでなくアジアにも需要があり、更にバリエーションが広がると面白い。(文責・柴田園子)


 

■名古屋デザイナー学院

 2018年2月25日(日) 会場:名古屋デザイナー学院
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最優秀賞:松本 梢「BABY STYLE」
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評価コメント:
幼児向け食事用エプロンの提案。身近な問題点にアンテナを張り、実体験に裏付けられたリアルな問題提起とその解決方法が提示されている。「食事用のエプロン」という出発点ではあるが、端を裏返すことでポケット形状を変えることができるアイデア やファッション性に優れ、撥水性素材による機能性や着せ替えの容易さを実現する構造など、細部にわたる視点の細かさが見事。 モデルの完成度も高く商品としてイメージできるレベルにある。(文責・金澤秀晃)

優秀賞:太田拓巳「造形計算」
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評価コメント:
オズボーンのチェックリスト法やKJ法などアイデアの開発手法も様々あるが、彼の作品は、思考のプロセスを確認し流れに沿って情報を整理していくことで効率的に解を探ろうとする、立体造形を手掛けるクリエーター達に特化した思考実験的発想方法の研究である。成果の検証事例の少なさや問題点の洗い出しなど未完成な部分はあるが、商品の価値がサービスやコンテンツに移行する現在、 プロダクトデザインを学ぶ学生がこういった視点を持ち物理的な商品とは異なる問題解決にチャレンジしている点が面白い。(文責・金澤秀晃)

セントラル画材賞:野田万枝子「Family Sweets Go Round」
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評価コメント:
「メリーゴーランド型お菓子入れ」と書いただけではこの作品の魅力は何も伝わらない。「モノからコト」と言われ久しいが、 まさに今のデザイナーが手掛けている商品は「体験」の提供と言える。「遊び」「会話」「笑顔」「ふれあい」…道具を通して人の行動や所作、時間の価値を変えることにデザイナーが果たす役割が広がる中、彼女の想像する「家庭のちょっとした風景のひととき」に多くの審査員がイメージを拡げ共感したに違いない。(文責・金澤秀晃)


 

■大同大学

 2018年2月25日(日) 会場:ナディアパーク・2Fイベントスペース
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最優秀賞:近藤実彦「新しい冷水筒の提案」
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評価コメント:
手が不自由な自分の母親という身近な人物の問題を解決するために丁寧にデザインされたところに評価が集まった。ドアポケットに入れるものという冷水筒の既成概念への大胆な挑戦に学生らしい清々しさを感じた。また、片手で扱える機能性や外観の美しさだけでなく、注がれる水の美しさにも気を使っていたところに、本人の日常品対する美意識が見受けられた。(文責・野口大輔)

優秀賞:押田和明「3Dプリンティングによるバックロードホーンスピーカーの研究開発」
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評価コメント:
丁寧なリサーチから必要なバックホーンの長さを導き出し、その長さを確保しつつ低音が出てくるホーン部分を象徴的にまとめられた点が、昨今のコンパクトにまとまっていくスマートスピーカー群とは一線を画すアプローチとして評価された。音楽という趣味性の高いジャンルにおける製品デザインの姿勢を考えさせられる作品である。(文責・野口大輔)

セントラル画材賞:小酒井健将「釣りをより一層楽しむためのルアーデザイン」
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評価コメント:
サイズ感や、ウェイトバランスが緻密に研究されていた。異素材を組み合わせるというアイデアが綺麗にまとめられていたが、尻尾の部品が取れてゴミになる可能性があり、釣り業界が抱えるゴミ問題への言及が加わればなお良かった。また、本人がこのルアーで二匹釣り上げたというのがなにより説得力があった。(文責・野口大輔)


 

■名古屋市立大学

 2018年2月24日(土) 会場:市民ギャラリー矢田
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最優秀賞:谷上 昂「患者のための病室用音響空間調整タイル」
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評価コメント:
対象者と環境の調査から問題点の把握、そこからの考察まで研究の部分がしっかりしており、丁寧に開発していることがうかがえる。本提案では吸音の技術的な工夫に加えて、造形の美しさとオリジナリティの高さを評価した。病気を持った人や障害のある人にとって、美しさは自信や誇りにつながる。提案の発展性も高く、更なる改善と具体化に期待したい。 (文責:堀田俊則)


 

■名古屋造形大学

 2018年2月18日(日) 会場:名古屋造形大学
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最優秀賞:関谷祥子「Neiro」
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評価コメント:
ヨーロッパの留学先で色を音に変える機器を自ら作成する事を切っ掛けに 日々の出来事を撮影した写真を色パターンコードに変換後、さらに音に変換する 独自のシステム構想を立て、一つの端末で撮る・色の記録・音色を奏でる事の出来る 完成度の高いデザインモデルが製作されている点が高く評価された。 近い将来、日常の視覚情報をNeiroによって振り返る新しいライフスタイルが生まれるかもしれません。(文責:井関 徹)

優秀賞:加藤愛理「ゆるふわタウン」
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評価コメント:
バーチャルタウンをデザイン構想する過程で、自らキャラクターデザインをし、SNS上に アップし人気リサーチした後、バーチャル内のポイントでゲット出来るショップやキャラクター デザインを更に立体作製している。仮想空間から現実空間までプレゼンテーションを行い、 直ぐにでも実施出来そうなビジネスモデルの完成度が高く評価された。(文責:井関 徹)

セントラル画材賞:吉積里香「corocoro」
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評価コメント:
移動・設営・販売可能なショップキットは、ジュエリーデザインなど製作・販売する ユーザー目線に立って、軽量化・設営の簡略化・展示・販売まで、極め細やかに コンテナーボックスデザインされていた点を評価された。 今後、モールでのイベントやフリーマーケットでの実演を重ね、ブラッシュアップ させた上で、レンタルコンテナーボックスの新しいビジネスモデルの構築に期待したいです。(文責:井関 徹)


 

■名古屋芸術大学

 2018年2月17日(土) 会場:名古屋芸術大学 X棟
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最優秀賞:濵田杏子「guragura」
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評価コメント:
ボルダリングのアイデアを、子供用のバランス遊具に活かした秀作です。 ボルダリングは、スポーツクライミングとして、子供から大人まで、体ひとつで遊べるなどショッピングセンターなどでも普及が進んでいます。 その山登り感覚をバランス遊具として活かしただけでなく、収納方法についても考えられている点で完成度が高いと言えます。また子供の体力向上や集団遊びによるコミュニケーション能力向上にも対応している点で、社会問題解決型のデザインでもあります。 さらに、最終作品になるまで、安全性を含めて実験を繰り返すなど検証プロセスを 含めて、課題設定力と作品力の高さを評価して最優秀賞としました。(文責:森下眞行)

優秀賞:加藤優理「SWING STOOL」
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評価コメント:
緑のある生活をテーマに、室内で植物や野菜を育てながら、スツールとしても使用できるマルチファニチャーです。ファニチャーとしては、樹の材料を素材として上手く活かして、 インテリア性を高めています。薄い合板を成型加工することで、スツールとしての強度を確保するなど機能的な面での設計力も高く、またプランターとしても、 水の補充や交換などメインテナンス性も良く考えれている点でも高い評価です。ただし、生活シーンや対象者が不明確など緑のある生活へのニーズ検証やスウィングする機能が、植物の成長に効果的なのかどうかのユーザビリティ検証が必要になる点は課題としてコメントします。(文責:森下眞行)

セントラル画材賞:棚瀬博之「DoWS」
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評価コメント:
今回の選考対象者が生活の身近なものを対象にしている中で、「自動運転」や「テレワーク」を背景とした近未来オフィスでの働き方の提案をしている点で、審査員からも高い関心が持たれた作品です。そのためでしょうか、「移動」に対して考え方や研究としての深堀が必要だとか、 また「移動」の仕方が変わることで働き方がどう変わるのかといった面まで考察して欲しいなど審査員からもかなり高レベルの質問がありました。 作品の提案力としては、まだ課題は残っているものの、展示しているパネルでのビジュアルや説明の完成度が高いことから特別賞として評価しました。(文責:森下眞行)


 

※椙山女学園大学と愛知産業大学の卒業制作展訪問は、都合により本年度は開催しませんでした

主催:(公社)日本インダストリアルデザイナー協会・中部ブロック
協力:セントラル画材株式会社

 

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