2014年度卒業制作展訪問
公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会
中部ブロック・次世代事業委員会
委員長 須藤正時
2014年度【卒業制作展訪問】JIDA中部ブロックデザイン賞のご紹介
中部ブロック・次世代事業委員会では、2014年度もデザイン系大学卒業制作訪問(卒展訪問)を開催し、各学校毎に優秀な作品を2点選定し表彰しました。
2014年度のJIDA中部ブロックデザイン賞は以下の方々です。
2014年度JIDA中部ブロックデザイン賞
■名古屋芸術大学
2015年3月7日(土) 会場:愛知県美術館ギャラリー8階
卒展訪問の様子はこちらのFacebookページでご覧いただけます
最優秀賞:澤邊美駒 「きらきら りんりん ころころ」
評価コメント:
ひらがなを五感を通し学べる学習玩具の提案。木製のひらがなの文字に仕込まれた小さな仕掛けに思わず納得してしまう優れた作品である。例えば「さ」のひらがなには細いガラスの容器に砂が入っており持ち上げると「音」がする。さらさらの「さ」を意味する。木で出来たひらがなの形状の見事さに加え仕込まれた小さな仕掛け、それを使っての乳幼児での効果の検証、ロゴデザインなど細部にわたり優れたデザイン提案である。 (文責・須藤正時)
優秀賞:筒井千尋 「魚々マルシェ」
評価コメント:
魚を入れるトロ箱の再利用循環システムと魚販売の為のヤードで用いる陳列棚のデザイン。家庭における魚料理が減少する中でもっと魚を食べるように働きかけるために魚を販売する側への提案。トロ箱の再利用や機動力のあるヤードの提案は全体計画に優れている。 (文責・須藤正時)
■名古屋工業大学
2015年3月1日(日) 会場:名古屋工業大学 講堂
卒展訪問の様子はこちらのFacebookページでご覧いただけます
最優秀賞:松山由樹 「母と子の遠隔コミュニケーションを支援する媒体」
評価コメント:
働くママが、仕事先から赤ちゃんの様子を見たり、話しかけたり出来るモニター付きの起き上がり小法師のデザインはコンパクトにまとまっており、安全性への配慮もよく考えてありました。赤ちゃんを追いかけてモニタリングできる機能などがあれば完璧でしたね。 (文責・安倍武利)
優秀賞:橋上 篤 「実体物をジェスチャで操るゲーム」
評価コメント:
手の動きをセンサーによって認知し、ジェスチャで立体4目並べを楽しめるアイデアは秀逸でした。コマの浮遊間と不思議感をもっと出す為に、仕上げや空間演出にもっと力を注げば作品がワンランクアップしたと思います。 (文責・安倍武利)
ゲスト賞:安藤風子 「最後まできれいに食べられる箸」
評価コメント:
材質や形状に違いはあっても、同じ長さをした二本一対のシンプルな棒状の食器。その概念に囚われることなく、道具としての機能を用途別 に一から見直したプロ セスはデザインの基本であり最も重要な行為です。今回は対象がメカニズムやテクノロジーに頼らないシンプルな道具「箸」だけに、その 発想が更に光っていました。いつまでも、その姿勢を忘れずデザインに取り組んで下さい。(ゲスト賞審査員・元村田機械デザインリーダー 高田佳直)
※卒展訪問は本年度よりJIDA会員外の方に向けても開催のご案内をしており、この回に高田佳直氏と坂井昌由加氏にご参加いただきました。そこで特別にゲスト賞を設けて、お二方より選出して頂きました
■大同大学
2015年3月1日(日) 会場:ナディアパークアトリウム 参加者:JIDA会員9名
卒展訪問の様子はこちらのFacebookページでご覧いただけます。
最優秀賞:熊崎翔太 「コーディネートの確認ができるハンガー」
評価コメント:
衣服のコーディネートがしやすいトルソー型の立体ハンガーの提案。日常の気づきからの問題解決ではあるが、シンプルライフや断捨離など時代が求めるライフスタイルへの新たなソリューションとしてとして評価した。提案した3つの作品は、異なった材料を使用したにも関わらず、見せ方が同じで消化出来ていない点があるので、さらなるアイデアの深堀りが必要です。例えば、竹を利用したトルソーは、類似した商品も見られるので、伝統工芸産地との協働型提案も可能だし、樹脂テープなども廃材を利用するなどエコロジー面からの付加価値をつけることで、さらに作品の魅力が増すと思います。 (文責・森下眞行)
優秀賞:桝田良希・南谷優輝 「空間の用途に合わせて変化可能な家具」
評価コメント:
製造ラインでは一般的に廃棄されてしまう杉の集成材を利用した子供向けのユニット型収納家具の提案。子供の成長に合わせて、必要となる機能と収納スペースの量に関して、調査・分析を行ったり、安全面から、強度実験を繰り返すなどして、研究プロセスでの努力が見られる点で、会員の評価が高かった。今後は、流通面からのコンパクト化や製造面でのモジュール化なども提案できると、さらに高い評価が得られるでしょう。 (文責・森下眞行)
■愛知県立芸術大学
2015年2月28日(土) 会場:愛知県美術館ギャラリー8階 参加者:JIDA会員11名
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最優秀賞:片山陽介 「エボラ出血熱のための細菌防護服のデザインプロトタイプ」
評価コメント:
先行事例の調査からはじまり、その着用時の問題点が分析されている。また、イメージスケッチを具現化するために素材選定・制作・メンテナンスなど、細部にいたるまでの完成度が高い作品であった。デザインの計画から具体化に至るプロセスの理論的一貫性を高く評価した。(文責・滝本成人)
優秀賞:中山泰徳 「命を守る家具」
>評価コメント:
震災時の落下物から身を守るため、構造物と落下物の間にできる三角形の空隙に着目し、最低限の居住スペースを確保する提案であった。 ソファーベッドの模型と動画を活用することで、日常と災害時の生活シーンが分かりやすく表現できている。ベッドの高さなど基本寸法には疑義も出たが、全体としてデザインの破綻がなく、完成度の高い作品であった。(文責・滝本成人)
■名古屋造形大学
2015年2月22日(日) 会場:愛知県美術館ギャラリー8階
卒展訪問の様子はこちらのFacebookページでご覧いただけます
最優秀賞:長谷川智恒 「xylophone 一人暮らしのための着脱式生活用品」
評価コメント:
若者の視点から、一人暮らしの空間を提案。独居者の生活機能を整理し、モジュール化したシリーズ家具をお洒落なフォルムで表現。システム化によって自由度の高い組み合わせができるデザイン案だと考える。(文責・黄ロビン)
優秀賞:林幸之介 「Levitation」
評価コメント:
名古屋造形大卒業制作の共通テーマ「これ、何に!」をうまく解釈した傘の収納装置である。プロトタイプの検証実験を経て、従来の傘立てという概念を覆した斬新な提案。使用シーンを更に広げれば、充分可能性のある商品になるだろう。(文責・黄ロビン)
■名古屋市立大学
2015年2月21日(土) 会場:名古屋市市民ギャラリー矢田 参加者:JIDA会員8名、ゲスト1名
最優秀賞:鶴見慎吾 「モビリティ(車椅子)」
評価コメント:
病院内で使用する車椅子のデザイン。モノを作り上げてゆくプロセスに科学的検証(実際に病室で使うユーザーに動作分析、ビデオ検証、加重解析)を導入し繰り返し改良を行い最適解を求めるプロセスがすばらしい。デザインの完成度としては再考を要する部分的な箇所はあるが次世代を担うインダストリアルデザインの姿勢としてあるべき方向を実践している。(文責・須藤正時)
優秀賞:野村綾菜 「レーザーメス」
評価コメント:
外科医が使用する電気メスに関するデザイン。これまでの電気メスに関す問題点の抽出それに対する解決案、プロトタイプによる豚肉を用いた使用確認などそのデザインプロセスがすばらしい。電気メスのあるべきデザイン要件、その結果のデザインともよく優れた提案である。(文責・須藤正時)
■名古屋デザイナー学院
2015年2月21日(土) 会場:名古屋デザイナー学院 参加者:JIDA会員5名
最優秀賞:白井里咲 「おばあちゃんのすけっと」
評価コメント:
身近なおばあちゃんの為の椅子を題材とした作品。超高齢化社会を題材としていながら等身大のデザインテーマでテーマの設定がよい。制作意図、デザインの進め方、おばあちゃんの評価確認、販売面でのデザインと一連の流れを短い時間の中で良く出来ている。作品としてのデザインは軽量化を始め組み立てやすさへの配慮など必要と考えられる。(文責・須藤正時)
優秀賞:加藤由子 「家族時計」
評価コメント:
時計型のマグネットボードの作品。家事労働の分担を促すコミニケーションのあり方をテーマとしている。家事の負担をみんなでシェアして主婦の負担を軽減するとともに家族のコミニケーションを促そうとするデザイン提案。今日的な課題で主婦の家事労働の実態をかわいらしい時計型ボードで日々の労働を可視化、それを通して他の家族の行動を促すデザインは楽しい中に現実を直視した優れたデザイン作品と言える。(文責・須藤正時)
■椙山女学園大学
2015年2月15日(日) 会場:椙山女学園大学 参加者:JIDA会員9名
最優秀賞:谷高未紗 「片手でマニュキア」
評価コメント:
女性脳卒中片麻痺障がい者のためのマニュキア自助具の考案を行った。提案にあたって、試作、被験者実 験を繰り返したプロセスを展示パネルだけでなく、途中経過の立体モデルも提示している点が、この取り組みに対する姿勢を表していた。(文責・木村 光)
優秀賞:山本沙耶 「サブ看板の照明制作」
評価コメント:
店舗における看板を、今までのイメージとは異なった見せ方の看板を制作した。LEDと手書きの良さが 調和し、夜でも見やすい照明となった。試作での問題点を上手に解決した力作であり、今後の応用が期待できる提案である。(文責・木村 光)
■名古屋学芸大学
2015年1月17日(土) 会場:愛知県美術館ギャラリー8階
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最優秀賞:柿澤佑輔 「POLYGON」
評価コメント:
作者の趣味から、こんな自転車が欲しいと言う気持ちが嵩じて出来た作品です。電車で輪行する時に、後輪をキャスターとして使い自転車を担がなくても良い様にしたアイデアが秀逸です。輪行袋も合わせて、使い勝手によく配慮されたデザインです。(文責・安倍武利)
優秀賞:福井優太 「Relief」
評価コメント:
介護者は腰に一番負担が掛かる事から、トイレ等への乗り移りを容易にする為のアイデアを提案しています。使用状況がある程度限られて汎用性には欠けるものの、明るくスタイリッシュなデザインにまとめられていました。(文責・安倍武利)
※愛知産業大学の卒業制作展訪問は、都合により本年度は開催しません
主催:公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会・中部ブロック