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【 ISDW 2019年 】

2019テーマ   " ISLAND Is My Land "  IN TAIWAN

 

 

ADA(Asia Designers’ Assembly)の事業、国際学生デザインワークショップが、JIDA、CIDA(台湾インダストリアルデザイナー協会)、KAID(韓国インダストリアルデザイナー協会)の三団体により、今年は台湾で開催された。

2002年のスタートから16回目、今年はCIDA が主催となり8月11日から17日の日程で、台中文化産業園、国立屏東大学を会場に実施された。参加学生は、日本7大学21名、台湾25名、韓国17名、合計63名、メンターはCIDAから3名、KAIDから1名、JIDAからは、黄ロビン、赤澤計2名が参加した。各国混成によるチームは1週間の時間を共有しデザイン提案を行った。

 

 

概要 2019テーマ ISLAND Is My Land

このプロジェクトは学生間ワークショップのほか、デザイン関連の視察、メンターによるレクチャーおよびゼミナール、文化を理解する見学、訪問等により構成されている。ワークショップのスタートは各国混成グループ結成後の、台中文化を知る夜市の探検から。翌日からは2019テーマに沿って、琉球嶼、台中文化産業園、東隆宮、六推客家文化園などを訪問。ワークショップではCIDAメンターからのレクチャーも多数挟み、諸々の手法を活用して提案に進め、最終日には国立屏東大学講堂にてプレゼンテーションを行った。

 

 

【8/12】台中文化園創意産業園区 Cultural Heritage Park へ・・・

この施設は日本統治時代の民間会社大正製酒が作った建物・地区で、戦後台湾政府に引継がれた。当時を彷彿とさせる建物が残り館内ではユニークな展示やイベントが行われている。また一部はリノベーションされ広々とした気持ちの良い空間となっている。広い園区各所を案内していただいた後、ホールで講演が行われた。陳致強(Jason Chen)氏からは、タイランド文化ベースの雑貨を事例とした文化創造産業について、鍾雅涵(Kate Chung)氏からはイタリアDomus留学を背景とした彼女自身の作品を切り口に講義いただいた。

 

 

ワークショップ

グループごとに自己紹介のあと、曽俊儒(Tseng Kevin)氏からワールドカフェの解説と「ISLAND」をベースにした問いかけが提示されディスカッションを行った。詹家豪(Sammy Chan)氏からは5W2H(+How much) マンダラ発想法などのレクチャーがあった。翌日の見学と提案の切り口につながる提示がされ、ワールドカフェの手法に則り席を移動しながら活発な意見交換がされた。

 

 

【8/13】台湾のISLAND 小琉球(琉球郷)でのリサーチ

屏東県東港鎮からフェリーで15分ほどの島、小琉球へ。島に到着後、バスに分乗し特徴的な各所をガイドしてもらった。島の特徴や課題を探索しているグループもみられた。緑にあふれ美しい水面に囲まれた島はとても清々しいところであった。しかし同日は台風の影響もあり東港鎮からのフェリーは相当揺れた。波にあおられ船が持ち上がるたびに船内は盛り上がっていたが途中から船酔いが続出、上陸後は休憩をゆっくり挟んでの見学となった。帰るころには天候も体調も良くなり楽しく充実した島見学ではあった。

 

 

夕方には屏東・東港にある道教の寺「東隆宮」を訪問、その後東港の高級レストランで歓迎会が催された。同区観光局長などが出席、学生にはお土産も準備してくださり地域での交流を深めることができた。テーブルには地元の魚介を使った料理が次々登場し美味しく楽しい一日の締めくくりとなった。その後は国立屏東大学へ移動し、同日から学生は大学の寮に滞在した。できたばかりの新築の寮であった。

 

 

【8/14】六推客家文化園の見学

最後の見学地は、台湾南客家文化の研究・展示施設である六推客家文化園である。客家は独特の風俗を持っており多数の家族が共同生活を営む巨大な集合住宅、客家土楼がよく知られている。六推客家文化園は広い土地に様々な展示施設が並び各所を見学してまわった。異文化に触れ歴史的背景を知り最終提案につなげるヒントが得られただろうか。見学のあとは大学に戻りグループごと話し合い、スケッチ、簡易プロトタイプでの検討など提案に向けて活発なディスカッションがみられた。

 

 

【8/15】ワークショップも大詰め、提案に向けディスカッションも活発に

午前中は提案内容の中間発表が行われ、方向性や進捗にアドバイスが示された。翌日は朝からホールでの最終発表となる。午後の時点でも、まだ話し合いがまとまらないグループもありやや心配な状況であったが、学生同士は活発に意見交換や方向性の検討、メンターへの質問等を行い、非常に頼もしい印象を受けた。翌日の発表はトータル7分、その中に1分程度の動画を含むことが条件として提示された。

 

 

【8/16】屏東大学の講堂での最終発表

屏東大学の講堂で最終発表が行われ、JIDA、CIDA(台湾インダストリアルデザイナー協会)、KAID(韓国インダストリアルデザイナー協会)の理事長を始めとする理事、関係者が集まった。屏東大学学長の挨拶から始まり、全8チームそれぞれ方向性の異なるユニークな発表が行われた。島、海の課題解決を図るもの、客家文化を背景としたお弁当の提案、お土産の提案など、見学やリサーチで得られた体験から具体的な提案まで、限られた時間の中で発表資料までまとめる集中力に驚かされた。その後休憩をはさみ各賞が発表された。受賞をよろこぶ各チームの歓声の中、1週間に渡り行われた国際学生ワークショップは幕を閉じた。

 

 

発表終了後、屏東市演劇庁のロビーに移動しフェアウェルパーティーが行われた。壇上では表彰式、撮影会で盛り上がりをみせた。準備された食事やビール、ミルクティーを頬張りながらおしゃべりや記念写真に開放感の笑顔が見られた。日本の学生からは、来年までに英語のスキルアップをというコメントも聞かれるなど、もう来年に気持ちを向ける学生もいた。

 

 

飛行機便の関係でそのままバスに乗り空港近くのホテルに移動。ここで台湾の学生とはお別れとなった。ホテル到着は深夜となったが、なぜか台湾の学生もホテルに登場したり・・ロビーでの飲食が可能だったこともあり最後まで別れを惜しんでいたようである。
翌日朝に空港に移動しそれぞれ無事帰路に着いた。

 

今年は台風など天候が心配された。雨は降ったりやんだりであったが時折日も差し全体の進行に影響はほとんどなかった。また腹痛や発熱など数名体調を崩しメンターが病院に付き添うなど心配もあったが大事には至らなかった。
充実した1週間を通じ国際学生デザインワークショップは無事終了した。

 

■執筆者
赤澤 智津子(千葉工業大学)

■ADA(Asia Designers’ Assembly)
第16回 国際学生デザインワークショップ

●開催 2019年8月11日〜17日
●場所 台湾
●ADAのサイト http://www.asia-ada.org/


 

 

JIDA HP:http://industrial-design.jp/20/2019taiwan