第99回「あっ!こんなところにもファスナーが!」 :: JIDA公式サイト
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第99回 あっ!こんなところにもファスナーが!

 

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【 開催日 】2022年10月28日(金)13:00~16:30
【 題 目 】「あっ!こんなところにもファスナーが!」
【 講 師 】YKK株式会社 商品戦略部 商品企画推進室 
プロダクトデザインT:中山栄治氏、中村ゆか子氏
 テクノロジー・イノベーションセンター 資源循環・プロセスG:水林舞氏、関麻樹氏

【参加人数】16名(会場16名) 
【 会 場 】YKK黒部事業所・YKKセンターパーク​​​​​​​

【開催趣旨】

ファスナーはアパレルやスポーツ用品の分野から漁業・畜産や宇宙産業など、普段は意識しないような場面で幅広く使われていますが、その仕組みや活用の場面について知る機会は多くありません。そこで、よく見ているけれども意外と知らないファスナーの用途、材料開発・製造技術を知るための勉強会を企画しました。そして今回の勉強会では「Fasten」=「留める、つなぐ」ものを取り扱うファスニング分野のトップランナーであるYKK株式会社の開発者により材料開発・製造技術を紹介します。
YKK株式会社は、創業以来、80年にわたり衣料品に使われるスライドファスナー、面ファスナー、繊維テープ・樹脂製品、スナップ・ボタンなどの開発・製造を行っています。
 今回の勉強会では、実際にYKKセンターパーク丸屋根展示館を見学し、YKKの取り組みや歩み、またファスナーの作り方や技術などについて観ていきます。(※工場見学ではありません。)また見学後は商品開発者も交えたディスカッションを行います。これからのファスナーの可能性について考える貴重な機会とします。

【プログラム】

1.    YKKセンターパーク見学( ファスナー製品の紹介)

産業観光ゾーンにある、丸屋根展示館を見学しました。
丸屋根展示館は、工場の建屋をリノベーションして作られた展示館で、1号館では、YKKのものづくりと創業者吉田忠雄に関する展示がされており、ファスナーの製造工程やYKKの企業理念について学ぶことができました。また、2号館ではYKKの技術の歩みに関する展示がされていました。YKKは商品の製造装置も自社で作る完全一貫生産を行なっており、技術力とイノベーション・マインドから生まれた装置や金型などを見ることができました。

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YKKセンターパークガイドマップ

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丸屋根展示館の外観

丸屋根展示館の見学後は、「ビジネスゾーン」にあるYKK50ビル内の会議室で、商品企画推進室 デザインチームの皆様からファスナー製品に関するレクチャーを受けました。ファスナーには大きく分けて、金属ファスナー、コイルファスナー、樹脂射出ファスナーの3つの種類がありますが、それぞれの特徴(形状や意匠性の自由度など)を活かして、止水機能、ストレッチ機能などの機能性ファスナーや、ビーズファスナーの様な意匠性が高いものなど、用途に応じたバリエーション展開が豊富な事を学びました。

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1号館 YKKのものづくり、創業者吉田忠雄ホール

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2号館 YKK技術の歩み

2.    ファスナーに求められること

ファスナーの製造工程を学んで、表面の形状的なデザインの自由度が少なく、デザインよりもエンジニアリング的な要素が重要である事が理解できました。一方で、で目的や用途に応じたバリエーション展開が豊富であることも分かり、そう言った意味ではファスナーはデザインがよく出来ていると感じました。特にビーズファスナーは安全性が高く、指で触っても引っかかるところがないことから、細部までこだわってデザインされているという意見もありました。

3.    新規用途提案

委員会メンバーだけでなく、一般参加の方からも活発な意見が出ました。

一般参加の方からは、農業などの一次産業へのファスナーの用途展開、セントラルキッチン向けの食材のパッケージへファスナーを展開することで、現在1回の使用で廃棄されているパッケージのリユースのご提案がありました。
委員からは、しっかりと結合しているのではなく、何となく止まっている「仮止め」機能なども需要がありのではないかとのご提案がありました。そして、新規用途先を考えるために、以下3つのアプローチが提案されました
①    社会課題に対応する
高齢化社会やアグリカルチャーへの展開を考える
②    子供の心に戻り見方を変えてみる
「日頃から子供の様に好奇心をもって過ごすように心掛けている」というデザイナー姿勢をヒントに、大人にとっては当たり前でも子供の心に戻り見方を変えてみることで、新たな気づきを得る
③    お客様の欲しいものをつくる
お客様の困りごとを解決することが嬉しいことに繋がる、そのプロセスを大事にする。

4.    デザイナーからの提案

ファスナーの噛み合わせの部分の名称が務歯(むし)と呼ばれていることが意味深く思いました。この務歯同士は互いに緩く止まっており、柔軟性がありながらも強度がある構造で、寺社建築で言う三手先の構造によく似ています。この構造を利用すると、柔と剛を併せ持つ新しいコンセプトのファスナーが創れるのではないかという提案もありました。

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