スタンダード委員会 セミナー部会【第76回勉強会】
2015年6月25日
講師:Elastomer Solutions Company 柳澤秀樹 氏
参加者:16名
テーマ : エラストマーの材料特性とデザイン ー Rubber,Plastic & TPE
エラストマーとは、JISによると、「室温で弱い応力でかなり変形した後
その応力を除くと急速にほぼもとの寸法および形状に戻る高分子材料」を指す。このような特性は、ゴム、軟質プラスチック、熱可塑性エラストマー、
シリコーンに見られるが、熱可塑性エラストマーにはそれらとの違いや特徴がある。
ゴムとシリコーンは熱硬化性で、リサイクルはできないが、可塑性エラストマー(Thermo Plastic Elastomer、TPE)は、熱可塑性なのでリサイクルが可能である。
TPEは、10ミクロン程度の超微細ゴム粒と熱可塑性プラスチックから構成されるので、高温で流動化し、冷却すると固化して常温ではゴム弾性体の性質を示す。
各種プラスチックと同じようにTPEにも種類がある。汎用TPE(オレフィン系TPO、スチレン系TPS、塩ビ系TPVC)、エンジニアリングTPE(ポリエステル系TPEE、ポリウレタン系TPU、ナイロン系TPA)、スーパーエンジニアリングTPE(フッ素系TPFEなど)とあり、耐熱性、耐油性、対薬品性、堅さ、
引っ張り強さなどの性能、比重、そして価格も様々である。用途により選択する。一般的に高機能になるほど価格も高くなる。
TPEはエラストマーとしての特性を活かして、視覚と触覚に訴える様々な加飾が可能である。
TPEは着色が可能で、透明もある。射出成形はじめ、インモールド成形、水圧転写、塗装、メッキ・蒸着、スクリーン印刷、金型内塗装、金型シボ加工で成形できる。同じ素材もしくは相性の良い素材の2色成形、厚みが作れる成形なども可能である。
TPEは、比較すると金型費が高いが量産に向いていることや、シリコンのような成形時の後加工が不必要、2色成形が可能などから、トータルにコストダウンがはかられ、より心地よく見栄えの良い製品開発が期待される。
TPE製品の問題点と対策
・べたつき防止策としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤を入れる。
・引っ搔き傷はTPOに起きやすい。グレーにすると傷が目立ちにくい。
・汚れとなるゴミを引きつける静電気を防ぐには、帯電防止剤を添加する。
・柔らかいと汚れが付きやすく取れにくいので、条件の中で、硬めのを選ぶ。
・TPEの成形時の収縮は1~2%あり、工法、形状により異なるが、金型にその配慮が必要。