JIDA

第44回「鋳物」

 

2008年11月20日
株式会社モリチュウ  代表取締役 森 氏
永井機械鋳造株式会社  営業課長 田中 氏
参加者 : 21名

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車止め、郵便ポスト、マンホール、街路灯など街で見かける鋳物製品。
どっしりと、どこか懐かしく温もりや安心感まで感じてしまうこれらは
どのような種類や用途があり、どのように作られるのでしょうか。
今回は川口新郷工業団地協同組合新工会館にて
株式会社モリチュウ様による鋳物についてのレクチャーと
永井機械鋳造株式会社様鋳物工場を見学させていただきました。

■「鋳物」とは?

鋳物の種類 : 鋳物は全て合金である。
鉄鋳物(鋳鉄)
片状黒鉛鋳鉄(ねずみ鋳鉄)
球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)
鋳鋼
アルミ合金鋳物
銅合金鋳物
黄銅系鋳物=真鍮鋳物
青銅系鋳物=ブロンズ鋳物
その他ステンレス鋳物等・・

ダイキャストは鋳物(鋳造)の一種であるが一般的に「砂型の中に流し込む製造方法」を

「鋳造」、「金型の中に圧力をかけて流し込む製造方法」を「ダイキャスト」と言い、「鋳造」

とは言わない。


「型」とは? : 原型/模型=オス型、砂型=メス型
オス型の基本は木型、他発泡スチロール、硬質ウレタン、金型等メス型は砂型

■鋳物製作現場へ

はじめに参加者全員へベーゴマが配られ、身近かな鋳物本来の色について
また鋳物製品の多くは塗装されるか、製品自体人目につかない重要な部品等に
使われていることが多いとのこと。

訪問工場のご好意により鋳物製造工程の見所のひとつである
溶けた湯を電気炉から「とりべ」へ移す作業に立ち会うことができました。
人一人すっぽり収まりそうな大きな「とりべ」に溶けた鉄が流れ落ちる瞬間
辺りに飛び散る火花の美しさに感激するもそこに流れる湯の温度は1400〜1600度、
想像を絶する温度ですが、作業の方はその傍ら不純物の除去、機械の操作を
淡々と行なわれておりました。

砂型はその性格上、型自体をそのつど壊して製品を取り出しますので
原型を除いてはなかなか「砂型」を見ることが出来ないのですが、
今回工場にて作業を拝見させていただき砂型を「体感/実感」することが出来ました。
複雑な形状の製品の型はどうするのだろうと思っていましたが
現場の方々の経験と工夫で、木型の分割や補強材の使用などで対応するとのことです。

工場の一角には成分分析をする機械があり、本製作の前に必ず試験片の成分分析を行い
不純物の検出等の不具合が出た場合、材料の総入れ替えもあるとのことで
品質維持に対する厳しさをひしひしと感じ取ることができました。

蛇足ですが、諸先輩方の会話でたまに出てくる「キューポラ」は?とお聞きしたところ
この煙突状でコークスを使った溶解炉、現在ほぼ電気式の炉に置き換わり
また工場の地方への移転も多く、現在川口でもあまり見かけられなくなったとのことです。