JIDA

第38回「樹脂メッキ」Part3

 

2007年11月9日
塚田理研工業株式会社 駒ヶ根工場
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塚田理研は樹脂メッキ分野で国内最大手の企業です。場所は長野県駒ヶ根高原。
樹脂メッキは下地処理した部品を電解溶液槽に浸けてイオン化した金属を付着させる

わけですが、温度や浸す時間で金属イオンの付き具合が変わり、膜厚や色が変わって

しまう。以前は職人がその日の気温や湿度で浸け込む時間を判断し、部品を引っ掛けた

ラックを手作業で槽へ出し入れしていた。
塚田理研では完全コンピュータ管理生産ラインを構築し、材料・形状・大きさ・色調の

異なる部品を24時間量産している。

興味深いのは下地・メッキ・後処理といった槽の温度管理はもちろん、それぞれの槽に

浸け込む時間が異なるラックを同時に1つのラインにてコントロールしていることである。

同じ槽に部品の異なるラックが入り、あるものは長い時間浸され、あるものは短い時間で

次の槽に移動させる。

それぞれのラックに引っ掛けられた部品の情報に応じて上方から伸びるアームが時間を

管理しながらラックを移動して行くため、ほぼ同時にスタートしたラックも追い越されたり

しながら各々の処理工程・時間を経てメッキ処理が施されてゆく。つまり、生産工程や時間

の異なる部品を同時に同じラインで生産していることになる。
これによって多品種小ロット生産を可能にしている生産ラインはこれまでの通常ラインと

無電解ニッケル下地工程を省いたダイレクトプレーティングラインがあり、ダイレクト

プレーティング工法では通常の工程に比べて約20槽ものメッキ槽を低減でき

生産効率を高めるとともに水資源の節約、排水量の大幅ダウンといった環境面でも貢献している。

また部分メッキではマスキング溶液をライン内で自動剥離させる独自のTPマスキング工法を

開発して、マスキング溶液の除去作業を無くすなど、より生産効率の向上を実現している。

昔の手作業によるメッキ工程を見学したことがあるが、同時に処理の違う部品を同じ槽で

作ることは難しく、効率の悪い工程という印象があったが、これほど自動化されていること

には正直驚かされた。また、各工程のいたるところに排水を浄化する装置が並べられており、

環境対策への取り組みに力を注がれていることが伺われた。