JIDA

第13回「銀鏡反応塗装」

 

2004年10月20日&29日
(株)東京島津
取締役営業部長 島津 功治 氏
参加者 : 36名
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<銀鏡反応塗装> 
銀鏡反応とは、鏡を作る技術を樹脂に応用した技術です。
銀鏡液という純粋な銀を使用した水溶液を塗布すると、アンダーコートと化学反応を
起こし、鏡面になるというものです。さらにトップコートでさまざまな色に仕上げる
事ができるそうです。この新技術により、今までできなかった「塗装によるピカピカ
の金属色」が可能になるわけです。

<工 程>
(1)アンダーコート(プライマー)
(2)銀鏡液の塗布
この作業により、アンダーコート(プライマー)と銀鏡液が化学反応を起こし、鏡面
になります。
(3)トップコート
この作業により表面の硬度や深みを与え、又、トップコートにより、さまざまな色
に仕上げる事が出来ます。

<メリット>
(1)純粋な銀を塗布する為、メッキと異なり環境にやさしい表面処理です。
(2)液を塗布する為、入り組んだ形状の製品も鏡面に仕上げる事が出来ます。
(3)塗装ですので、透明材で作業を行うとハーフミラーになります。
又、透過率を変更するのも容易です。LEDを透過させるとかなり綺麗な輝きを見せます。
(4)大きさにあまり制限が有りません。
蒸着やメッキの様に槽に入れる訳では有りませんので、車のバンパーも容易に鏡面
に仕上げられます。
(5)小ロット品にもフレキシブルに対応できます。
過度な設備を要しない為、1個2個の試作品にも柔軟に対応できます。

<今後の課題>
(1)耐候性に問題があります。現在屋外用途にも耐えうるトップコートを開発中だそうです。
(2)ゴミの問題:3工程を経て、又、その都度焼付けを行う為、空気に触れている時間が長く、
ゴミの付着をどのように防ぐか、設備を含め、検討中だそうです。
(3)クローム色:あくまで銀なのでクロームメッキ色とは風合いが異なります。クローメッキ
の代用ではなく、新しい表面処理という認識が必要なようです。  
(4)コスト:未だ、量産品での実績が少ない為、工数等の見直しや塗料のコストダウンには
着手できていないため、蒸着やクロームメッキに対して割高感があるようです。

まだ実例が無いほど新しい技術ですので、コスト面や量産性が確立されていないようですが、
環境に優しい点と大型製品にも対応できる点で、メッキに代わる可能性や、今まであきらめ
ていた製品への応用も可能になるかもしれません。

今回のプレゼンター「東京島津(株)」さんは、車のバンパーや農機具のボディーパーツ、
ゲーム機や医療機器の外装など、主に大型樹脂成形品の試作開発から量産、組み立てを得意
とするメーカーです。普段なかなかお目にかからない方も多いかもしれない真空成形や圧空
成形が主体ですが、実際見て勉強してみると、逆に新しい可能性を感じたりします。