【 開催日 】2022年12月23日(金)16:00~17:30
【 題 目 】キャスターのアレコレ、「コロコロ動かす」選定ポイント
【 講 師 】テンテキャスター株式会社 寺西悦一氏、渡邊裕太氏、境秀也氏
【参加人数】16名(ハイブリッド開催:会場参加6名、オンライン参加10名)
【 会 場 】六本木AXISビル4F JIDAギャラリー
【開催趣旨】
私たちの身の回りにある様々な製品にはキャスターが取り付いています。毎日自然にコロコロ動かして使用していますが、形状、サイズ、素材、色など種類は様々です。種類が多いのには意味がありますが、反面どのような環境でどのキャスターを選んだ方が良いのか非常に分かり難いです。用途に応じた正しいキャスターでないと、「動き難い」、「すぐ壊れてしまう」といった問題が発生してしまいます。そこで、キャスターを製品に活用しようとするデザイナーやモノづくりに携わる人たちに必要な情報をキャスターサンプルと供にお届けする勉強会を企画しました。
今回の勉強会では、ドイツに本社拠点を持つテンテキャスターの日本法人から講師をお招きし、キャスターに関する基本的な機能について解説しながら、キャスターを選定する時のポイントなど実演を交えてお伝えします。
【プログラム】
1. キャスターとは
最初にこの世界にキャスターがない生活を想定した動画「キャスターがない世界」を視聴した。キャスターが日常生活の様々な場所で使用されており、キャスターが無くなると困ることに気づかされた。引き続きキャスターの基本的な知識(使用用途や部品構成、種類、素材情報)の説明があった。
2. 会社案内
1923年ドイツで創業し、世界30か国に拠点をもつ同社の案内があった。
3. こんなところで使われています
使われる状況や環境に合わせて、多岐に商品展開を行い、テンテキャスターの製品が世界中で使用されている。具体的な紹介使用例として医療用ベッド、大型ショッピングモールのショッピングカード、スーツケースへの使用例の紹介があった。
4.商品紹介
代表的商品の紹介として「自在式(トータルロック付)のLevina(レビナ)」、「旋回軸に精密ベアリングを2個搭載し、双輪の荷重分散と併せて始動時の旋回抵抗を大幅に軽減した[Linea(リネア)」、超重量物用キャスターの[Omikron Quatro(オミクロンクアトロ)」が紹介された。また環境に配慮した製品として、バイオマスキャスター「Anika」が動画付きで紹介された。
JIDA事務局会場で紹介された製品
JIDA事務局会場での勉強会の模様
5. 質疑応答
Q1 使用状況での耐薬品などについて
A1 昔は床の洗浄に石油系を使用していたため石油系では化学反応によりキャスターの樹脂を犯すことがあった。しかし現在では使用も少なくなった。またコロナ対策で使用されているアルコールに対しても問題ない。
Q2 単輪と双輪の直進性の違い
A2 直進性は単輪の方がある。理由は単輪の方が加重や地面の状況を受けにくいので直進性が増すため である。また、双輪は加重や地面の状況に左右されやすいが、旋回性が高く動きがスムーズな為、様々な条件下で移動しやすい特徴がある。
Q3 「電子ロック」は、電磁弁で言うところのNO(非通電時オープン)/NC(非通電時クローズ)での動作か
A3 「電子ロック」は電源が切れるとロックとなる。ただしロック後は手動解除も可能である。
Q4 「プレーン軸受」とは、軸側の素材がルーロン相当のガラスフィラー入りのフッ素樹脂などを意味するものか
A4 フッ素樹脂ではあるがガラス繊維が入っているかは不明である。軸素材には鉄メッキ仕様、フッ素樹脂、フッ素加工と数種類がある。
Q5 地面の状況によって動きやすくなるキャスターにサスペンション機構を入れてはどうか
A5 軸が回転することで、キャスターが前に進む上で重要でありキャスターにクッション性を持たせると、回転性なくなり移動が重くなるので不向きである。ただし重量物などではサスペンション仕様にすることもある。
Q6 空気入りキャスターなどはあるのか
A6 需要は少ないと考えていて現状はない。
Q7 キャスターを使用した独自の商品展開の可能性はあるか。
A7 あくまでキャスターの供給を考えてるため、その可能性は少ない。
Q8 キャスターの価格の付け方について聞きたい
A8 数が増えると単価は下がるが、自社としては安価なキャスターに値段を合わせるのは難しい。しかし機能や形状などの付加価値をつけて差別化を図っている。
Q9 価格以外での売りは何か
A9 弊社は代理店を挟まず直販をしている。お客様の使用条件を直接聞くことで最適なキャスターの提案できるのが強みである。
以上